イラストレーターだったUOの友人が漫画を連載していると知ってふとUOの事を思い出したので書く。 (少し読んだけど相変わらず絵が上手いなあ)
昔のUOでは装備の破損が有り定期的に修理が必要だった。
修理をする時は人に装備を渡す事になるのでサブキャラに任せるか信頼出来る人に任せるのがセオリーだった。
盗難や詐欺事件が結構あったのだ。
街には何人も修理屋さんがいて、話してるうちに親しくなって装備を作って貰ったり材料をプレゼントしたりする事があった。
コミュニケーションが大切なシステムだった。当然ながら非コミュは複数キャラで自己完結していた。今と変わらないね!
これはスーパーボスという強大な敵が実装された頃の話。
それまでの強敵は頑張ればタイマンで倒せるレベルだったのだが、スーパーボスは常軌を逸していた。 3桁の人数で袋叩きにしても倒すのに数時間掛かる。おまけにPKエリアなのであちこちで場外乱闘が発生。
笑えるくらいカオスな中で数時間の戦闘をする必要があった。
とある日、街でスーパーボスが出たとの話があったので友達、友達の友達、更に…と集まれるだけ集まって討伐に向かった。
酒を飲みながら数時間掛けて何とか討伐。こんなもん飲まないとやってらんない。泡盛一本飲んじゃったよ。 ただ装備はボロボロになった上、何本も予備で持ち込んでいた武器も全て使い物にならなくなっていた。
おまけにミスで死亡した際に装備回収が遅れてしまい、引退済の親しい友人Gに作ってもらった鎧セットの半数を失ってしまった。 UOではPC版ROの武器同様に装備に銘を入れられる。武器だけでは無く服も可能だ。
全てロストすると諦めていたので、一緒に戦った友達や周りの人達が必死になって半分回収してくれただけでも本当にありがたかった。
その日は夜中になってしまったので諦めて翌日ログインして街に向かった。
街で会ったのは顔見知りの鍛冶屋C。鎧を作ってくれたGとも親しい間柄だった。
自分「久しぶり。頼みたいことがあるんだけど」
C「久しぶり。なんで装備が半分無くなってるの?」
自分「スーパーボスを倒しに行ったらミスっちゃってさ、Gに作って貰った鎧を半分ロストしちゃってさ」
C「不足分を作ったら良いんだね」
自分「いや、この鎧はもう修理しても元に戻らない位壊れちゃったから一度溶かして完全に作り直してくれないかな?不足分の鉱石も渡すよ」
C「本当に良いの?銘が変わるよ?」
自分「君の銘に変わるならGも許してくれるさ。Gに会ったら壊してゴメンと謝るよ」
そう。UOでは金属武具を溶かす事で鉱石に戻せる。 不足分の材料を補えば新たに武具を作り直せるのだ。
ちなみに服だとナイフで切る事で包帯を作ることができる。
Gと親しかったCになら、この武具を託して作り直してもらっても良いと心から思ったので依頼した。
暫くしてCが袋を渡してきた。中身は作り直された一式。
自分「ありがとう。ついてだけど武器も数本作ってくれない?全部壊しちゃった」
C「相変わらず無茶するなあ。分かった。作るね」
話していると通りすがりのテイマーが声を掛けてきた。
テイマー「君はGM剣士みたいだね。良かったらさっき取ってきた武器をあげようか?」
余談だがUOではスキルの一番高い物が称号になる。同じ数値だとアルファベット順。 SwordsmanshipとAnatomyを同時に上げることになるので通常の戦士は剣士の称号を持たない。
自分はAnatomyを99.9でロックしSwordsmanshipを100にすることで「Grandmaster Swordsman(略称: GM剣士)」に称号を調整していた。
ちなみに火力は20%くらい落ちる。
非効率なのだが、UOでは皆それぞれ個性を出すのが「当たり前」だったので個性の1つとして受け止められていた。
テイマーが渡してきたのはVanquishの銘が入った剣とハルバード数本。
Vanquishとはモンスターが落とす武器の最高品質の物で、ドラゴンや異世界の魔物といった強敵からたまにしか出ないレアな物だ。
販売したら高額で買う人も多い。というか高くて買えないし勿体無い。
ルニック武器という鍛冶屋でもVanquish以上の武具を作る事が出来るシステムが実装されてはいたが、最高ランクのルニックじゃないとVanquishを超える事は出来なかった。
おまけにルニックを作るハンマーはとんでもない値段で取引されていた。
自分「いやこんな高い物悪いですよ。売ったらお金になるのに」
テイマー「さっきのやり取りを見ていたんだけど、剣士を名乗り、装備を大切にしてくれる君にこの剣を使って貰いたいんだ。剣もきっと喜んでくれるよ」
暫く悩んだが受け取った。この剣やハルバードはAoSアップデートで性能が弱くなるまでずっと愛用していた。
暫くの時が過ぎてUOを辞めてROもやめた頃、ROで剣士から転職せずにレベル99になった一人の男のブログを知った。 この時修理をしてくれたCにメッセンジャーで彼のブログの事を話したら「剣士なんだ。昔の君みたいだね」と言われた。
更に数ヶ月後、オセアニアに行った彼を追い掛けて自分もオセアニアに向かった。
これが始まり。